辻が花

『辻が花は、縫い締め防染による染めを中心にしたもので、室町時代末期から江戸時代初期に至る短期間に隆盛して姿を消した。縫い締め絞りを主体として、これに描絵、刺繍、摺箔などの加飾をほどこし豪華な文様で知られる。しかし、江戸中期に友禅染が隆盛し辻が花染めはすたれてしまったため「幻の染め物」と言われている。

久保田一竹は、辻が花に魅せられ、幻の辻が花の研究に没頭したが、伝統的な辻が花を完璧に復刻するのは技術的に不可能であると判断し、代わりに“一竹辻が花”として自己流の辻が花を発展させることにした。1977年一竹が60歳の年に初めて自身の装飾着物の展覧会を開催する。1990年には、フランス芸術文化勲章シュバリエを受章している。』

「辻が花形見となりしひとひらをまといてしのぶ若き日の君」

辻が花はきもの好きにとっては最高の憧れのきものではないだろうか。安土桃山時代のものは当時の最高の技術を使っていたとはいってもやはり、「素朴」なもので、現代の好みとはまるで違う。ところが本物の「一竹辻が花」となると豪華絢爛この上なく、お値段も途方もないものになる。

最近では「辻が花」という名ではあるけれども手ごろなお値段のものもある。

いずれにしても「辻が花」は憧れであることには間違いない。

写真上:藤田美術館蔵  写真下:一竹辻が花

誰そ彼

「せせらぎ」に投稿した短歌についてのメモ

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